音声通話アプリで通話品質が悪いときの確認ポイント

スマホ関連メモ

今までスマホやPCで、03番号や050番号で通話をするための記事を書いてきました。これらの通話は、原則的にデータネットワーク網に音声を乗せるVoice Over IP(VoIP)という技術を使っているため、ネットワーク網側の品質が音声品質に直接影響することがあります。

この記事の位置づけ

過去にはスマホやPCを使った音声通話で以下の記事を書いています。今回の記事は、これらに関連する手段で導入した音声環境のトラブルシューティングという位置づけになります。

ネットワーク品質を確認する

コンピュータで音声通話をする場合、アナログ波の音声は音声コーデックを使いデジタル化されます。音声通話ではリアルタイム性が求められるという特性上、演算処理が軽くて済むような通話用の音声コーデックが用いられます。コーデックの代表的なものとして、G.711やG.729があります。

コーデックごとに1秒間あたりのデータ量が異なるため、これらのデータが滞りなく流れるネットワーク環境かどうか、確認する必要があります。

ネットワークの実効速度を確認する

ネットワークの実効速度が上り/下りともに200kbps(=0.2Mbps)以上あるか確認します。

音声コーデックによりますが、多くの場合は圧縮率が低めのG.711(日本だとG.711ulawの場合が多い)が使われます。実際のデータサイズやネットワーク伝送で付加されるヘッダ情報を考慮し、100Kbps程度の通信速度が得られるネットワーク環境に接続されていることが求められます。さらにバックアラウンド通信も含め、だいたい200kbpsを目安としています。

最近のモバイルネットワークは高速化したとは言え、格安SIMだとかなり混雑する場合もあります。特に昼休みや通勤時間帯は混雑します。そのため、ネットワークの実効速度を確認してみることをお薦めします。

現実的に、対向側との実効速度を調べるのは難しいですが、まずは自分側が問題ないか確認することがトラブルシューティングの第一歩となります。自分側の実効速度はRBB TODAY SPEED TEST(iOS版Android版)のようなアプリで計測することができます。200Kbps以上の速度が出ていることを確認してみると良いでしょう。

この場合の実行速度は、自分の端末対相手の端末ではありませんが、ある程度の通信状態の目安をつかむことができます。

もし、200Kbps以上の速度が出ない環境にいる場合、音声コーデックでG.729を利用する方法があります。多くの通話アプリではこのコーデックを利用するのは有料オプションになっているようですが、100Kbps程度の回線速度でも通話ができるようになります。

ネットワーク遅延時間を確認する

ネットワーク一方向の遅延が100ミリ秒以下であるか確認します。

ITUのG.114の勧告では、一方向の遅延を150ミリ秒以下に抑えると、音声品質が許容範囲に収まるとされています。この遅延は、ネットワーク側の遅延の他、デジタル化の遅延などをトータルした値になります。

筆者の経験則からになりますが、一方向のネットワーク遅延が60ミリ秒以下に収まっていると気にならない音声品質になると考えています。モバイルネットワークの場合は、LTE通信であれば基本的にこの基準を満たしますが、3G通信をしているとアウトになる場合があります。

これも現実的に、対向側へのネットワーク遅延時間を調べるのは難しいですが、まずは自分側が問題ないか確認する必要があります。一つの目安としてRBB TODAY SPEED TEST(iOS版Android版)のようなアプリでping値を調べ、2で割った値(※)が60ミリ秒を切っていればほぼOKと判断できます。

この判断基準は、ネットワークやVoIPに詳しい方から見ると怒られそうですが、シビアな条件に設定しているので大目に見ていただければと思います。

※pingは対抗側にパケットを出して応答が来るまでの往復時間を示しているため、目安として2で割るという計算になります。

音声周りの設定を確認する

エコーキャンセラ機能をON/OFFしてみる

エコーキャンセラがONになっている場合はOFFに、OFFになっている場合はONにしてみます。

エコーとは、対向側の通話端末から回り込んできた自分の声になります。エコーキャンセラでは、自分の声と逆位相の音を当ててエコーを打ち消します。

多くの通話アプリでは、エコーキャンセラは標準でONになっています。しかし、この機能が適切に動作しないと、結果としてそれがノイズとして現れてくる場合があります。人によっては、これをOFFにすると良い場合があるため、敢えてエコーキャンセラ機能を切って様子を見てみることをお薦めします。

対向側からエコーが聞こえると指摘がある場合は、アプリ設定で受話音量レベルを下げるか、自分側のスピーカーレベルを下げてみてください。

ノイズキャンセラ機能をON/OFFしてみる

ノイズキャンセラがONになっている場合はOFFに、OFFになっている場合はONにしてみます。

ノイズキャンセラは、通話アプリによっては搭載されていない可能性があります。理屈はエコーキャンセラと同様で、周囲のノイズと逆位相の音を当ててノイズを打ち消します。

ノイズキャンセラをOFFにすると、対向側にノイズが聞こえるようになるので、実際に通話して音質を確かめる事をお薦めします。

上記の対策をしても通話品質が向上しない場合

モバイル環境でVoIPを使う場合、自分でコントロールできる品質改善箇所は極めて限定的になります。筆者は、具体的な確認箇所は上記くらいだと考えています。

どんなに頑張っても通話品質が向上しない場合は、あきらめるというのも選択肢に入るかと思われます。最後は身も蓋もない内容になりますが、VoIPというのはシビアな環境の上で品質が成り立つものなのです。

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