ハイレゾ音源のオーディオを楽しむ(DVDオーディオ編)

今まではハイレゾ音源の音楽ファイルについてテーマを絞ってきましたが、今度はディスクを紹介します。
DVDでは、DVDビデオの他に「DVDオーディオ」が規格化されています。実はこの規格はすでに死んでいます。

既に死んだ規格とはいえ、リッピングさえしてしまえばハイレゾ音源が取り出すことだって可能です。だからこそ今あえてDVDオーディオを紹介します。

そもそもDVDオーディオとは?

DVDオーディオとは、DVDビデオの音楽版です。1999年、DVDの大容量を生かしCDより高音質を達成すべく作られました。
同時期に登場したSACD(Super Audio CD)との規格争いで負けてしまい、市場から消えてしまいました。SACDに負けてしまったとはいえ、SACDもビジネス的に成功しているとは言い難く、結局はどんぐりの背比べ程度の競争でした。

再生機器が乏しく、今も昔も一部のハイエンドなプレイヤーが再生に対応している程度です。ディスク自体は、今もかろうじてネット通販で買えますが、クラシックやジャズ音源くらいしかありません。

DVDオーディオでは、ハイレゾ音源ファイルと同音質の192kHz/24bitまで対応していて、以下のコーデックをサポートしていました。

  • リニアPCM
  • Packed PCM(MLP、Blu-rayで使われているDolby TrueHDの前身の規格)

この他、MP3やAACもサポートされていましたが、少なくともこれらが収録されたDVDオーディオは市販されていなかったと思われます。

ちなみにDVDオーディオをPCで参照すると、以下の様なファイル群が見えます。
AUDIO_TSフォルダの中にAOBファイルがあります。DVDビデオでVIDEO_TSフォルダの中にVOBファイルが置かれているのと非常に似た構成をしています。

DVDオーディオをPCで再生する

DVDオーディオは通常のDVD再生ソフトでは再生不可で、しかもネットワーク認証が発生するなど、大変使い勝手の悪いものでした。
これは、DVDビデオがリッピングが容易になってしまった教訓から、プロテクトをガチガチにした結果かもしれません。

しかし2009年、インターネット上の有志によるfboobar2000用プラグインの登場により、その状況は一変しました。
DVDオーディオという規格が市場から消滅した後に、使い勝手が大きく向上したのです。

DVDオーディオをPCで再生するために必要なものは、以下の2点です。

  1. foobar2000 (日本語化)
  2. DVD-Audio Decoder and Watermark Detector

それぞれをダウンロードしたら1.をインストールし、1.のcomponentsフォルダに2.(foo_input_dvda.dll)を入れれば再生できます。

foobar2000では、ディスク上のAUDIO_TS.IFOファイルを読み込むと、トラック一覧がまとめて表示されます。

チャンネル表示や周波数もしっかり表示されます。チャンネルは、L=左、R=右、f=フロント、s=サイド、C=センター、LFE=低域専用になります。

DVDオーディオをリッピングする

※2012年10月以降から本行為が違法になります。刑事罰はありませんがご注意ください。詳しくはこちら

毎回ディスクを入れるのは面倒なので、やはり音源データをリッピングしたくなるものです。
DVDオーディオはDVD DecrypterやAnyDVDのようなソフトではリッピングできないため、DVD-Audio Explorerを使用します。

DVDオーディオのディスク内にあるAUDIO_TS.IFOを読み込むと、トラックリスト一覧を取得します。
リッピング対象のトラックを選択し、フロッピーディスクのアイコンをクリックします。

リッピングのオプションが表示されます。まずは、Output directoryから出力ファイルを選択します。
ファイルはwavで出力するため「Convert to wave」を選択し、出力ファイルのチャネルに応じオプションを選択します。オプションは、以下を気を付けると良いでしょう。

項目 説明
Merge groups 各トラックはグループ単位で構成されています。グループは、Group 1, 2には各チャネルが含まれています。
全てのチャネルを1つのファイルに含める場合、ここにチェックを入れます。
5.1chのwavファイルを取り出したい場合などがこれに該当します。
Split groups すべてのチャネルを分離して、チャネルごとにwavファイルに出力する場合、ここにチェックを入れます。
Get stereo downmix サラウンドチャンネルをステレオにダウンミックスする場合、ここにチェックをいれます。
サラウンドチャンネルのダウンミックスが許可されていない場合があります。その場合、ステレオ音声はステレオ用のTitleから取得できます(ステレオ用のTitleが用意されている場合)。

あとは、一番下のアイコンをクリックして待つだけです。
wavファイルができたら、サイズを小さくするためにロスレス音源ファイルに圧縮することをお勧めします。

コメント

  1. アイヴァーン より:

    DVD-AudioにはCPPMという著作権保護技術が施されているそうですが,これはコンテンツの暗号化を伴うもののようですので,10/1以降はCSSと同様にリッピングが私的複製の範囲外とされる可能性があるのではないでしょうか?

  2. katgum より:

    >アイヴァーンさん
    ちょっと気になって調べてみました。ちょうど良さげな記事がありました。

    以下、インプレスからの引用です。
    http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/20120712_546131.html

    Q7:リッピングの方法を紹介したら訴えられる?
    A7:よほど直接的・具体的ならば、違法とみなされる可能性はあるでしょう。

    との事だそうです。今回具体的なタイトルのリッピング方法は載せてないので、大丈夫かなと・・・

    いずれにせよ、10月から違法化されるのは確かですので、その文言は記載致します。ご指摘ありがとうございました。

  3. あき より:

    レンタルcdをハイレゾファイルにしてから、dvdに焼いてdvdプレーヤーで聞けるのでしょうか

  4. Junya Kato より:

    DVDビデオ規格かDVDオーディオ規格のオーサリングソフトを使えば可能ですが、元がCD(44.1kHz/16bit)なので音質面では意味がないと思われます。

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