DSDネイティブ再生にも対応したハイレゾ対応再生アプリ「TuneBrowser」がすごい件について

製品レビュー

筆者は、フリーで使えるハイレゾ音楽ファイルの再生アプリは「foobar2000+Super Audio CD Decoder+ASIO Support」の組み合わせが一番ではないかと思っていました。そのため、再生アプリについてはあまり熱心に調査はしていなかったのですが、今更ながら「これはすごい!」と思わずにはいられないアプリに巡り合うことができました。
しかもそのアプリは国産になります。登場してからそこそこ経っているので、知っている方も多いかと思いますが「TuneBrowser」というアプリになります。

どれくらいすごいと思ったかというと、使い始めてあまりにも素晴らしかったので開発者のTiki様に思わず感想を送ってしまったくらいです。

すごいところ1:充実した対応ファイルと音声出力

TuneBrowserは特に追加コンポーネントなしに最初からほぼすべての機能が搭載されています。

ASIO対応しておりデバイスごとのパラメーター設定ができる

TuneBrowserはASIOに対応しています。そのためOS側のミキサーを経由しない高品質な音楽再生が可能になります。

また、ASIOデバイスに限らずWASAPIのデバイスにも言えることですが、TuneBrowserの場合は非常に親切で、デバイスごとに細かいパラメーターを割り当てることができます。

この設定に特にお世話になるのが、DSD再生関連のトラブル発生時だと思います。TuneBrowser側でDoPやNative DSD (DSD Direct)への対応をあえて無効にするなどで、ある程度のトラブルシューティングを行うことができます。

TuneBrowser ASIOデバイス設定画面

ASIOデバイスの場合の設定画面。DSD関連の設定変更ができるため、再生トラブルがあった際は自分でパラメーターをいじることができる。

リサンプリング対応

TuneBrowserには、一部のマニアには有名であろうSoX Resamplerが搭載されています。リサンプリング設定では、ベースの整数倍でリサンプリングできたり、サンプリング周波数を決め打ちできたりします。

さらに、これ以上のサンプリング周波数は変換しないという設定をすることにより、標準音源のみをリサンプリングして出力、ハイレゾ音源はそのまま出力することができるようになります。筆者の感覚では、88200Hz以上はリサンプリングをしなくて良いように感じました。

TuneBrowser SoX Resampler設定画面

SoX Resampler設定画面。再生音源のサンプリング周波数をベースに、整数倍でアップサンプリングすることができる。

DSDネイティブ再生対応

そして重要なのがDSDネイティブ再生です。DSD再生に対応したDACさえあれば、DSDネイティブ再生を行うことができます。TuneBrowserでは、DSDに関連した再生は以下の3つを利用することができます。

  1. DSDネイティブ再生:ASIO Native DSD (DSD Direct)
  2. DSDネイティブ再生:DoP (DSD over PCM Frame)
  3. リニアPCM変換

競合になるであろう「foobar2000+Super Audio CD Decoder+ASIO Support」では1と2のみなので、それと比べてもTuneBrowserが優位になります。DSD再生を謳っているその他のフリー再生アプリはリニアPCM変換される場合が多いため、やはりTuneBrowserの方が優位です。

すごいところ2:ロックやジャズ、クラシックの管理に特化したインターフェイス

実は筆者が一番感動したのは管理周りになります。最近でこそiTunesでクラシック音楽管理に特化したタグが登場しましたが、クラシック音楽の場合は「作曲家」「曲名」「楽章」「楽章の副題」など様々な要素があり、既存のトラック名のタグだけでは十分に管理できるとは言えませんでした。

筆者はクラシック音楽のヘビーリスナーの一人ですが、既存のクラシック音楽の管理では、トラック名に以下のような情報を入力しています。

<作曲者名>: <曲名> <楽章>

例1: ベートーヴェン: 交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱」 第1楽章
例2: ベートーヴェン: 交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」 第1楽章 田舎に着いたときの愉しい感情のめざめ

クラシック音楽を普段聴かない方のために解説しておくと、クラシック音楽のアルバムでは他の作曲者の曲がカップリングされている場合が多いため、曲情報の分かりやすさを重視すると作曲者目を混ぜた長い表記になってしまうのです。このやり方だと必然的に情報量が多くなるため、再生アプリで曲一覧を表示すると長くて見づらくなる弊害も生じていました。

TuneBrowserでは、作曲者のようなトラック名で共通している部分をカテゴライズし、適切な長さの表示を行ってくれます。今までいろいろな再生アプリを見てきましたが、このような表示の配慮をしたものはTuneBrowserが唯一でした。筆者にとってはこれが相当革命的に感じています。

TuneBrowserに管理させるファイル

TuneBrowserに管理させるファイルのタグ。トラック名が「作曲家名: 曲名 楽章名」という構成になっている。作曲者情報も入力済み。

TuneBrowserに表示される曲情報

TuneBrowserで曲を表示させた例。各曲の共通部分をうまくカテゴライズして、分かりやすく表示してくれる。

実は有料アプリだった!

一連の説明で”フリーで”と書いたのですが、実はTuneBrowserは一定以上の条件を満たすとライセンスを購入する必要があります。フリーの場合は500曲までをTuneBrowser上で管理することができます。それ以外の楽曲数を管理したい場合は有料になります。フリーと有料の違いはそれだけです。

筆者の場合は、ライブラリに登録したアルバム数が多くなりすぎると使いやすさが悪化すると考えているため、500曲も登録することはありません。おそらく500曲をライブラリに登録するという方は、多ジャンルを普段からヘビーに聴く人なのではないかと想定しています。

ですので、一部の好きな曲ばかりを普段聴いているという方であれば、フリーで十分すぎるほどの恩恵を受けると思われます。もし、500曲を超えて管理したいとしても1400円程度の出費で済み、お財布にもかなり優しい価格設定となっています。「開発者の方はこれで稼ぐ気はないのだろうか?」と思ってしまうほど大盤振る舞いに感じます。

気になるところ

今まで書いてきたように絶賛するような内容のTuneBrowserですが、もちろん気になる点はあります。それは、曲の再生の操作の勝手が少々特殊なところです。

多くの再生アプリでは、曲をダブルクリックすれば演奏が始まりますが、TuneBrowserでは曲リストの左側に表示される再生ボタンを押すことで再生を開始します。これは慣れの問題でもありますが、長年しみついたダブルクリックで再生という瞬間が簡単に抜けるわけではないので、誤操作が多発したりと少しばかりのストレスを感じるところはありました。

TuneBrowser 再生ボタン

曲をシングルクリック後、真横に表示される再生ボタンを押すことで再生される。

TuneBrowser ファイルの詳細情報

再生ボタンの横のボタンを押すと、ファイルの詳細情報が表示される。

これは使える!

今まで書いてきたように、特筆すべきところが多いというのが率直なところです。このアプリじゃなければ嫌だというこだわりがない限りは、TuneBrowserに乗り換えても十分に満足できると思います。筆者が良いと思う部分のネタは出し切った感があるので、まとめはシンプルですがTuneBrowserは非常にお勧めできます。

TuneBrowserの情報

コメント

  1. Ivarn より:

    こんにちは?。
    実は私も,foobar2000 と TuneBrowser を使っています。
    設定が詳細なわりに,気軽に使うにも手軽に使える形にまとまっており,なかなか良いですよね。
    ダブルクリックで再生できないことだけは慣れが必要,という点が同感で,その点など若干のクセは歩きもしますが(^^;

    TuneBrowser では SHOUTcast や 181.fm 等のストリーミング mp3?のネットラジオを再生できないので,ローカルの楽曲は TuneBrowser で,主にネトラジやちょい聴きのときなどは foobar2000 でなどといった感じで使っています。

  2. katgum より:

    @Ivarn さん
    さすがに既にご存知でしたね。
    私の場合はfoobar2000との使い分けシーンが思いついていなかったのですが、ネットラジオ系で使い分けできるんですね。
    ネットラジオは全く使わないので、その視点はありませんでした。

  3. poicod より:

    こんばんは。
    曲の再生方法についてですが、ファイル(F)→設定→再生の設定とクリックしていくと、
    ウィンドウ右側に「再生の操作/確認の設定」という項目があります。
    その中の「楽曲のダブルクリックで再生する」のところが「No」になっていると思いますので、
    「No」をクリックし、プルダウンリストを表示させ、「Yes」にしてあげればわざわざ左横に表示される再生ボタンを押さなくても曲が再生されます。
    是非一度試してみてください。

  4. katgum より:

    @poicod さん
    これはありがとうございます!使い勝手が劇的に良くなりました。

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