格安スマホが本格的に登場してから2年ほどが経ちました。筆者の自宅では「docomoからIIJmioに変えてみた」をきっかけに、今までドコモ、au、ソフトバンクの3社を使っていたのを、最終的にドコモ系回線を使っているIIJmioに集約している真っ最中です。ちょうどIIJmioを使って1年が経ち、MVNOのメリット・デメリットがだいぶはっきりしてきました。
今回の記事は、筆者がMVNO業者としてIIJmioのみを使っている環境で書いたものになるため、実質IIJmioのレビューにもなるということを前提に本記事をお読みください。内容が多いので、このコンテンツは2本立てになります。この記事は2本目になります。今回はサービス品質と制約面に関する内容になります。前回の記事を読んでいない方は、まずは【前編:導入&料金編】をご覧ください。
データ通信速度は安かろう悪かろう、決してカタログスペックをアテにしてはならない
筆者の周りでは、仕事以外ではそもそも通話をしない人が少なくなく、一番重要なのはデータ通信の品質であると思われます。MVNOのデータ通信の品質だけは、さすがに安かろう悪かろうであると言うしかありません。
体感結果だけ載せるのは良くないので、実測値を以下に示します。「RBB TODAY SPEED TEST」を使って計測しました。ping値を小さいほど良く、速度は大きいほど良いです。
2016年10月22日 東京都杉並区 高井戸駅周辺 18時頃計測
通信会社 / 機種 | 計測結果 | ||
---|---|---|---|
ping値 | ダウンロード速度 | アップロード速度 | |
IIJmio タイプD / iPad mini 4 | 110ms | 2.81Mbps | 4.82Mbps |
au / iPhone 7 | 42ms | 48.71Mbps | 5.93Mbps |
2016年10月23日 東京都江東区 門前仲町駅周辺 19時半頃計測
通信会社 / 機種 | 計測結果 | ||
---|---|---|---|
ping値 | ダウンロード速度 | アップロード速度 | |
IIJmio タイプD / iPad mini 4 | 50ms | 41.16Mbps | 31.82Mbps |
au / iPhone 7 | 42ms | 47.47Mbps | 4.19Mbps |
2016年10月24日 東京都千代田区 秋葉原駅周辺 12時半頃計測
通信会社 / 機種 | 計測結果 | ||
---|---|---|---|
ping値 | ダウンロード速度 | アップロード速度 | |
IIJmio タイプD / iPad mini 4 | 101ms | 0.74Mbps | 15.10Mbps |
au / iPhone 7 | 41ms | 58.72Mbps | 6.57Mbps |
2016年10月24日 東京都中央区 人形町駅構内 14時半頃計測
通信会社 / 機種 | 計測結果 | ||
---|---|---|---|
ping値 | ダウンロード速度 | アップロード速度 | |
IIJmio タイプD / iPad mini 4 | 49ms | 39.37Mbps | 6.69Mbps |
au / iPhone 7 | 27ms | 64.08Mbps | 10.16Mbps |
筆者の体感としては、auのほうが圧倒的スムーズに通信できており、IIJmioは時間帯や場所で通信品質のバラツキが顕著でした。特にIIJmioの昼休み時間帯の速度低下ぶりは酷く、筆者はカフェでノートPCを広げテザリングをしようとしていましたが、まともに通信できませんでした。他所のMVNOレビューでも、昼休み時間帯の通信品質の低下についての記事を読んだことがあるので、これはIIJmioに限ったものではないかと思われます。
Webページを閲覧する程度であればMVNOでも良いですが、動画を頻繁に閲覧する人は通信速度の低下がかなりのストレスになる可能性があります。
実際の通信速度の結果から見ても、MVNOの通信の快適さは本家には遠く及びません。MVNOのカタログでは「ドコモの回線だから安心」という謳い文句があったりしますが、ドコモ回線を使用していようがau回線でいようが、MVNOである限りデータ通信の快適さは本家以下には変わりません。
LINEの年齢認証機能が使えない
今やスマホ利用者はほぼインストールしているであろうLINEですが、年齢認証を利用することができません。これは、年齢認証をするときにLINEが3大通信会社(ドコモ、au、ソフトバンク)にユーザー情報の照合をしているから実現できているもので、回線契約がMVNOに変わると照会先がなくなるため、年齢認証機能ができなくなります。
もしLINEの年齢認証が前提の機能をMVNOの回線で利用する場合は、以下の選択肢になります。
- 3大通信会社を契約しているときに年齢認証をして、そのあとにMVNOへナンバーポータビリティを行う
- MVNO業者の「LINEモバイル」と契約する
トラブルがおきた時の対応は自分で
3大通信会社では、スマホ本体にトラブルが起きた時は貸出機を用意してくれますが、MVNOでは基本的には自分でトラブル調査から解決策までの導き出しを行う必要があります。スマホにある程度知識がある人であれば、トラブルが起きてもある程度の悪い箇所の特定ができますが、そうじゃない人には少々ハードルがたかいかもしません。基本的には自分で何とかする姿勢が求められます。
3大通信会社のあの料金の高さは、ドコモショップのような店で貸出機を借りたりなど、充実したサポートを得られるための権利も含まれています。いわば安心料みたいなものです。
結局は玄人&ある程度妥協できる人向け
1本目の記事内容も総合して、結局は安かろう悪かろうというサービスなのがおわかりいただけたかと思います。機種選びと初期設定の大変さは一瞬なのでさほど苦にならないかもしれませんが、通信速度が低いのは契約している間はずっと付いてまわるものになります。世の中では、価格の安さだけが先行して目立つMVNOですが、実際はご自身が求めるものと生活スタイルに合わせ、従来の通信会社を選ぶのも選択肢となります。
今回の記事では、筆者が感じたこと全てを書いたつもりですが、MVNOにも悪いところがたくさんあります。是非一連の記事を参考して、今後のモバイルライフに役立てていただければと思います。
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