HDP-R10レビュー(音質評価 基本性能編)

ある程度HDP-R10を使い、出てくる音がどんな傾向かわかってきました。音の傾向をつかむため、イヤホン独自の味付けが少ない「FitEar TO GO! 334」を使って聴いてみました。

次回は、ウォークマンZシリーズと同スペックの音源で、プレイヤー間の音質比較を行います。

音は間違えなく高音質 フラットに鳴るので好みは別れるかも

いままで使ったことのある音質の良いプレイヤーが「ウォークマンZ」シリーズなのですが、ウォークマンは比較的にぎやかに、HDP-R10はフラットな鳴り方をするように感じました。人によってはこれを高音質に感じるでしょうし、淡白で味付けのない音と感じるかもしれません。

MP3ですが、ためしにアニソンを再生してみたところ、ウォークマンを使っていたときより大人しい、きれいな音が流れてくることに違和感を感じてしまいました。

逆にクラシック(こちらはSDのロスレス音源)のような純粋な楽器で構成されたような曲の再生はさすがとしか言いようがなく、細部の表現も十分なものでした。ウォークマンより格段に再現力の高い音がなり、高音質を謳っている製品というのには納得してしまいます。

持ち歩くと環境音の影響により高音質の恩恵もやや少なく

音の評価をするときに、楽曲の細かい音まで聴こえるかということも気にするものです。HDP-R10については、この点は基本的に申し分がないと感じています。

しかしながら、ポータブルという製品特性のゆえ、一歩でも家の外に出れば環境音というノイズが入ってきます。そのため、細かい音までは聞こえなくなってしまいます。安全のために、ポータブルオーディオでも環境音が少しでも聴こえるようにしておくことは大変重要なので、ここは致し方がないところです。

環境音というノイズが入っていても、ウォークマンZより音質が良いのは言うまでもないのですが、静かな部屋で聴くよりも双方の実質的な音質の差は縮むように感じます。

HD音源とSD音源の差は確かにわかる

HD音源(24bitのFLACやALAC、DSD)とSD音源(16bitのFLACやALAC)は音質に差を感じます。特に顕著に差を感じるのは弦楽器、とりわけバイオリンの録音を聴いているときでした。実際にオーケストラを聴いたことがある人は感覚的にわかると思われますが、SD音源はバイオリンの音が割とストレートになっているだけに対して、HD音源は音の柔らかさが加わり、よりふんわりした自然な音に近づきます。中音域の音の厚みが出たという感じでしょうか。

HD音源は音楽配信サイトだとスタジオマスターと表現することもありますが、スペック的にはCDより音が良いとはいえポータブル環境であるが故に、環境音ノイズの影響で細部の表現が隠れてしまうため、スタジオマスター音源を聴いているというよりは、CDより少し良くなった音源を聴いているという感覚でした。(※このとき感じた感覚は、外で歩きながら聴いている時です)

次の章では、実際の音源を解像度別に視聴比較しました。

解像度別に聴き比べてみる

自分の手持ちCD、音楽配信サイトからダウンロードした音源を駆使し、フォーマットごとの聴き比べをやってみました。
聴いたタイトルは、レイチェル・ポッジャーの「バッハ:ヴァイオリン協奏曲集」から「ヴァイオリン協奏曲イ短調 BWV1041 第1楽章」です。

はっきり言って、今までやった聴き比べの中で最も難しかったです。

SD音源 (16bit/44.1kHz、ALAC-CDよりリッピング)
CDから取った音源になり、音は十分良いです。ただ、後者2つの音源と比べると、音の奥行きは若干劣るかなという感じでした。

ちなみに、SD音源の比較としてMP3(320kbps)との比較もやってみたのですが、MP3は若干残響表現が甘いかなと感じるものの、よほど注意して聴かない限りその差は判らないような感じました。逆を言えば、HDP-R10のSD音源の再生力はかなり高いと言えるのではないでしょうか。

HD音源1 (24bit/192kHz、ALAC-Qobuzより購入)
今回購入した音源では、数値上一番音質が良くなるはずの音源です。SD音源と比べると格段に音の奥行き感が増すのですが、奥行きの感じ方はある程度注意して聴かないと感じにくいという印象を受けました。持ち歩いて聴いている場合だと外の環境音がノイズとして入るので、HD音源とCD音質の音源との実質的な音質差はそれほど感じないかもしれません。

ただ、DSD音源と比べるとバックのバイオリンの音の分離がほんの少しだけ悪いように感じました。とはいえ、これを感じたのは双方の音源を5回ずつ再生してからだったので、小さすぎる差といっても良いでしょう。

HD音源2 (1bit/2.8224MHz、DSD-Channel Classicsより購入)
DSDフォーマットは論理上一番音質が良いらしいですが、これはDSDネイティブ再生をしているときの話で、HDP-R10では24bit/88.2kHzのPCMに変換してから再生します。そのため数値上は24bit/192kHzの音源ファイルより音質が悪いはずです。

ところが、聴いていて一番音が良いと感じたのはこれでした。24bit/192kHzのALACと比べてバックのバイオリンの分離度が良かったです。
この理由を自分なりに考察してみたのですが、結局それらしき理由はわかりませんでした。

まとめ

解像度別に各フォーマットのファイルを聴き比べてみたのですが、HD音源の音が良いのは言うまでもなく、予想以上にSD音源の音の良さに驚かせられました。
環境音ノイズの影響、容量と音質のバランスを考慮すると、わざわざSD音源の5倍の容量を持つHD音源を入れるということはせずに、SD音源のロスレスファイルのアルバムをたくさん入れたほうが音楽と音質の双方を存分に楽しめるのではないかという印象がありました。

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